SAT04 CREATIVE SPACE

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Cubase Pro 9を早速触ってみた感想など

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早速触ってみた!といっても、既にもう5日も経ってるわけですが、この記事を書いたのが5日後で実際には翌日に触った感想です。個人の雑感ですのであしからず。

今回は私はCubase 7.5から一気に9にしたので、Cubase 8をすっ飛ばしています。なので、Cubase 8や8.5で追加された機能も目新しく感じます。あと普段Macで使用していますが、今回はWindowsでのレビューです。

外観

デモソングのダウンロード

4カラムになって、StudioOneやLiveのようなルックに対応したのが、今回の売りの一つ。適当にウェブで公開してよいプロジェクトが手元になかったんで、Cubase Pro 8.5のデモプロジェクトを公式から拾ってきました。下記のリンクしたページの下の方にあります。

※Cubase Pro 9.0用のデモソングと日本語マニュアルは、12月12日現時点ではアップロードされていないようです。

全体の外観

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やっぱり目を引くのが画面中央下部のカラム。1ウィンドウ化は場合よっては便利。使わなければ使わないで全く問題ないわけで。ただ、ツールとして見ると、今時ウィンドウのレイアウトなんてユーザーが自由に配置できるのが当たり前。なので、大々的にアピールされても今更?ていう印象もなくはないわけで……。

しかも、左、右、中央上部、中央下部という4つの場所に固定されており、各カラムごとに表示できる情報も決まっています。もっと好きな場所に好きな情報を表示できるようなフレキシブルさはあっていいんじゃないかと。

たとえばマーカートラックを選択した時に、左のインスペクタースペースに一覧を表示してくれるのはありがたいけど、幅を変更できなくて、視認性が悪い……。他のトラックを編集しながらでもマーカー一覧は右側のカラムにタブ化して常に表示しておくなど、もうちょい自由度が欲しいなあ。簡単なようにみえて、このあたりがレガシーなソフトウェアの改良における難しいところなのかもしれないけど。

あと色が地味なんで、もうちょいテンプレあっても良いんじゃないかなという気も。トラックカラーのプリセットも含めて。

画面下の常時表示のトランスポートは良い感じ

画面の下に表示されている「トランスポートバー」は、めちゃめちゃ便利。別途、従来通りのトランスポートパネルを表示することもできるけど、バーだけで十分かと。欲を言えば、これも下に設置できるだけじゃなくて、上部のツールバー郡と2段表示できるくらいの自由度はあってもよいんだけど。
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ダブルクリックした時に従来通り別ウィンドウでエディターを開く設定

どうやらデフォルトだと、MIDIやオーディオやパートをダブルクリックすると、画面下部のカラムに表示される設定になってるようです。これは環境設定のエディタの項目で挙動を従来通りに戻すことができる。
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マルチマーカートラックとマーカー単位での書き出し

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マルチマーカートラックは待ってました!というような機能。RECする楽器別にマーカートラックを用意したり、アレンジ用、ミックス用などに分けて使うのもあり。そして何より効果音製作だと局所的に複数のサイクルマーカーを置くことも多く、このようにトラックを分けることができるようになったメリットはでかい。

Pro 8/8.5の頃から可能になったのかもしれないけど、オーディオ書き出し時にサイクルマーカー単位で波形を書き出すことができるのもありがたい!

マルチマーカートラックが実装されたことによって、アクティブなマーカーがどれかというのを設定するボタンが追加された。
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チェックが入ってるマーカートラックがアクティブ・マーカートラックとして、オーディオ書き出し時のサイクルマーカーとして表示される。

MSモード搭載のFrequency EQ(8バンド )

MSモードを搭載したFrequency EQという新しい8バンドEQが搭載された。周波数グラフの下に鍵盤が表示されていて、「Waves H-EQ」を彷彿とさせる。

各バンドの「ST」となっている部分をM/Sに切り替えることで、MSモードを使うことができる。Mは中央(Mid)、Sはサイド(Side)の周波数成分にEQを適用できる。H-EQはプレビュー機能を裏技的に使うことで、MS分離プラグインとして使うこともできるが、Frequency EQではそういった機能はなさそう。

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MSモードにした後、Midだけバイパス、SideだけEQ適用といった事も可能。音はもうちょい使ってみないとなんとも言えないけど、H-EQ持ってるとあえてこちらを積極的に使うという場面はあんまり想像できないかな。

VSTインストゥルメンタルのサイドチェイン機能(Audio-Ins)

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対応したVSTiにサイドチェイン機能が搭載。例えばRetrologueのフィルターだけを使うみたいなことができるそうで。昔のアナログシンセのオーディオインプットに近い感じですかね。

Cubaseには昔「Tonic」という標準搭載のフィルタープラグインがあって、僕はめちゃめちゃこのフィルターが好きだったのですが、現在は搭載されなくなってしまいました。他にもフィルタープラグインは搭載されてるんですが、Tonicくらいシンプルな機能と、味のあるフィルターがなくて困っていました。

Retrologueは、普段よく使うソフトシンセの一つで音も好きなので、このAudio-Ins機能がそれの代わりになればと期待しています。

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Side-ChainをOnにすると、オーディオトラックのSendやOutput先としても表示されるようで。

32Bit プラグイン問題とプラグインのPath設定

今回から32bitプラグインが正式にはサポートされなくなったらしく、使えないプラグインはブラックリストに入っちゃうようです。ブラックリストに入ったからといって絶対に使えないわけでもないそうで。

インストールして最初に困ったのは、なぜかインストールされてるはずのプラウグインが一部表示されないという問題。

自分のインストール時のPath設定のミスなのかなんなのか、一部のプラグインはProgram Files (x86)フォルダにインストールされていたようです。Program Files (x86)フォルダは、32bitプログラムが入るディレクトリなんだけど、デフォルトでは「Program Files (x86)」フォルダ以下に置かれたVSTプラグインは読み込まれない。

なので無理やりPathを追加!ブラックリスト上等。そもそも普段Windows使わないので、お試しの為にいれたプラグインしか無いけどSpireがx86フォルダに入っちゃってたっぽい。※x86が32bitなのに対し、64bitはx64と表記される。

ほかにも、Native Instrumentsおまえもか……。NIのVSTは「Native Instruments」フォルダの下に32bitと64bitが収録されている。これもまとめてVST 2 プラグインパスの設定に追加した。なんか地味に散らばっちゃうWindowsのVSTちゃんは困りものだ……。私の設定ミスも大いにあるのだろうけど。
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VSTプラグインの並び替え

新機能ってわけじゃないけど、私はプラグインの並びは種類別じゃなくて、メーカー別が好みなので設定を変更。メーカー別にすると、メーカーごとに分類された上で更に種類ごとに分類される。
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オートパン

地味に嬉しいのがオートパンプラグイン。なにこれめちゃめちゃおもしろい事できるじゃないですか。オートパンといえば、正弦波や三角波といった、シンプルな波形のものがほとんどだけど、これは好きに波形カーブを書く事ができます。

シンク機能があるのでテンポに合わせることも可能。これは効果音作る時にすごい活用できそうです。
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相変わらずのピッチシフト機能

これは新機能ではなくて、何も変更されて無くてガッカリだったポイント。Cubaseの大きな不満点の一つですが、ピッチシフト機能がしょぼすぎる!古臭いこのデザインもあれだけど。
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テンプレート用意するとか、ユーザーテンプレート保存できるようにするとか、等間隔で規則的な波を描けるとかそういう機能がほしい所です。あとMPEX もいいけど、もうちょっとクォリティ良くならんもんかなーと。いい加減放置されすぎなので、そろそろ改良して欲しい所です。せめてSound Forgeくらいの機能性は欲しいところ。

個人的には、Pitch'n Time 使えないのがCubaseの最大のネックとも言えるのでピッチシフト/タイムストレッチの高機能/高性能化は是非取り組んで欲しい所。