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物理モデリング・ベース音源「MODO BASS」を購入してみた

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少し前から話題になっていたIK Multimedia のフィジカル・モデリング・ベース音源「MODO BASS」が正式にリリースになりました。フィジカルは日本語で言うと物理。サンプルベースの音源とは違って、楽器自体の構造やらパーツ、引き方などをパソコン内でシュミレートした結果として音を生成する音源で、YAMAHA VA音源など考え方自体は古くからありました。

今丁度イノベーターによる評価や言及が増えてきて、ソーシャルメディアで盛り上がってきた注目の音源です。このタイミングでセール終了ってのも惜しいので、もうちょいセール延長するか何かしらした方がいいんじゃないですかねぇ、IK Multimediaさん!

www.ikmultimedia.com

追記:Amazonと楽天でパッケージの初回限定盤の発売が決定したようです!

  • USBメモリ付きボックス版初回限定版特価
    • MODO BASS:22,000円(税別)
    • 各店ご予約数が限定本数に到達しだい特価終了となります。

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IK Multimedia MODO BASS 初回限定版 フィジカル・モデリング・エレクトリック・ベース音源【国内正規品】

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楽天市場(宮地楽器)

物理モデルって?

ゲームの世界では物理モデルは既に広く使われており、例えばボールを地面に叩きつけるというようなシチュエーションで、ボールの硬さや材質や形状、地面の種類や状態、はたまた空気抵抗や重力といった物理的なパラメータを入力した上で、ボールがどのように跳ねるかを物理的にシミュレートし、ボールの動きを生成する時に使用されます。

補足的な話ですが、物理の面白いところはリアルな結果を求めるだけでなく、非現実気なパラメータを入力することで、自然界ではありえないような状態をもシュミレーションできる点にあります。つまり、リアルにもアンリアルにもなり得ます。YAMAHA VP-1(VA音源)がアンリアルな音を作れる事を一つの売りにしていたのとは別に、今回のこのMODO BASSはあくまでリアルなベースをシミュレートする事を目的として設計されています。

ベタ打ち

とりあえずベタ打ち。2小節の超シンプルなベースパターン。音色(セッティング)もデフォルトにして、ModelだけStudio Bassに変更。Studio Bassにすると5弦になるけど、4弦にすることも可能。どっかで聞いた事あるフレーズ……ですって?

まず使い方が全くわからないのでやっぱりちょっと変。日本語マニュアルに期待したい所……。なのでこれを聞いて音質やらフレーズのスムーズさなんかは評価しちゃいけません!これは私の使い方のせいです。既にもっと良い動画が沢山あります。

常々思うのですが、この手の音源は買ったは良いけど使いこなせるかどうかが製品の評価や満足度を左右する部分ではあるので、楽器メーカーさんには各主要DAWのサンプルDEMOプロジェクトを複数用意して欲しいものです。音源毎の打ち込みテクの修練にあんまり時間かけるのも考えものかなっと……。(散々、打ち込み系書籍に携わっている私が言うのもなんですが……)

上の動画では、延々2小節をループしてるだけだけど、毎回ちょっと鳴り方違うんですよね。ノイズや弦のちょっとした干渉みたいなものもそうですし、音の繋がりであったり。そのあたりが個人的にはMODO BASSの面白い所かなと。この妙なラフさ、雑味はなかなか単純なPCMシンセでは難しいというか出せません。良く言うと打ち込み臭さを減らし、生っぽさを加えてくれる要素です。

もちろん上手くハマればですけどね。物理モデルの難しさってのは、やはり完全に制御しきれないところなんだろうなっと。そこが良くもあり悪くもありって感じです。物理モデルって、「毎回同じ条件で再生(シミュレート)したら毎回同じ計算結果が得られるから同じ音のはずでしょ!」と思っちゃいますが、ゲームの物理モデル同様そうはならないわけです。私は嫌いではないですが。

キー・スイッチとコントロール

Strings系の音源などでは一般的なキー・スイッチ機能。MODO BASSでもPickやFingerやSlapなどを切り替えることができます。

奏法を変えることで、キー・スイッチのレイアウトも変わります。動画のC#0とD#0を見ているとわかると思います。

あと、左上に「BEND」と「SLIDE」があって、スライドをピッチベンド情報で行うか、コントロールチェンジで行うかというような決めることができます。今回のデータでいうと最後(2小節目の3拍目)の2分音符の伸ばしの頭にピッチベンドが入っててスライドなんだけど変な感じになってます。ピッチベンドを下げ切らずに半音程度にした方が自然です(RANGEを2から1にすれば良いだけかも)。こういうのも勉強してコツを掴まないとだめだなって感じます。

まあでも、ベタ打ちでもそれなりに良い感じに鳴ってくれます。プリセットシンセみたいな打ち込み感バリバリのノッペリした感じにならないというのはとても好印象。Spectrasonics のTrilianと比べても、好みかなあという感じです。

プリセットもあるよ

設定項目は、ピックの位置から種類や弦のテンションまで色々あるんですがプリセットもそこそこの数があります。
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バグなのか上手くエクスポートできない……

バグなのかCubaseでエクスポートできません。どうやらフリーズ機能もだめなようで。ちょっと原因は不明だけど、流石にCubaseくらいは確認しておいて欲しい所。もしかして仕様だったりして?

リアルタイムレンダリング(実時間で書き出し)すると書き出す事ができます。

現状でも素晴らしいが、バージョン2には更に期待が持てる製品

個人的には今のままでも気に入ってはいるんですが、バージョン2あたりで更に化けるかもしれないという期待も込めて買いました。上手いベース・プレイヤーはある意味でムラが無いともいえます。言葉は変ですが微妙なムラすらもコントロールしてるといいますか。その辺をもうちょいコントロール出来ても良いかなって気もします。荒ぶる感じに聞こえる部分が、物理モデル特有のものなのか意図したものなのかちょっとわかりませんが少し扱いにくさも感じます。なんだったら物理モデル+AIプレイヤーって未来もあるんでしょうけど欲張りすぎですかね(笑)

エクスポートする度に演奏が違うってのも微妙かなあってきもするんですよね。フリーズトラックを何回もして、OKテイク取っておくってのもなんだか変な話で。物理でやることがデメリットにならないよう、物理モデル音源ならではの新しい解決策が必要に感じます。

その他のユーザーの反応(BlogやTwitterなど)

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