Cubase Pro 9で追加されたサンプラートラック機能を把握しつつ、どうやって使うのがいいか模索してみようという記事の続き。
前回の記事ではMediaBayを使って、Cubase 9のサンプラートラックのプリセットを効率よくロードする方法を紹介しました。今回はプリセットを色々みていこうかと。
サンプラートラックのプリセットを見て参考にしてみる
実際に、適当にCubaseプロジェクトを作って下記のトラックプリセットを読み込んで演奏してみることをオススメします。
Fusion SIne Piano(ロングトーン)
ループモード「Continuous」を使ったサンプルで、ロングトーンで音を再生させつづけても特定の場所をループし続けるので、違和感の無いトラックになってます。
ループポイントがうまく設定されてるってのもあるけど、意外とこんな風にピッチ音源としても使えそうですね。マルチポイントサンプリングできないのってどうなんだろうかと思っていたのですが、ある程度範囲を限定すれば使えそう。当然、音色にはよるけども。
Ancient Grind(リバース)
リバースモード(「Я」アイコンをON)を使ったサンプル。反転して更に頭から使うんじゃなくて中間部分をピックアップした音。
スタートポイント弄りながら音作りするような場合、鍵盤でトリガーしながら確認できる点でサンプラートラックでやるメリットはありそう。
Arcric Fabrik Atmo(ロングトーンからのリバース)
ちょっと面白いルームモードの「Alt Until Release」モードを使ったサンプル。ループの終わりまで行くと、そこから逆再生を始めるっていう音です。
これ、ゲームの効果音作る時のループテクでもやるんですが、ステレオファイルだったり複雑な波形でどうしてもうまくループポイント取れないような音でもプチノイズを鳴らさず、音を比較的スムーズに処理しつつループにできます。
ギミック的な音作りでもアリですね。
Beauty And The Synth(長めのクロスフェード)
ループポイントにフェードを設定すると、自動的にループの前後がクロスフェードしてくれるのがサンプルトラックの特徴です。このトラックは結構長めのクロスですね。意外とこのくらいのクロスでもいい感じ。
Into The Next Drop
ケツにフェードが書かれただけの、シンプルなトラック。しかし、他の音もそうですがトラック・セッティングスからの読み込みなので、ほぼ例外なくインサート・エフェクトも一緒にロードされます。この音だとPingPongDelayとかが刺さってます。音作りとして積極的にエフェクトを使っていくってのはありかなっと。
純正のMaximizerは比較的軽めなので、デフォに近い感じでガンガン刺してる感じですね。このあたりで音の量感を整えてる感じかな。
They're Coming(リバース、モノラル化、ピッチ無効)
リバースを使い、さらにモノラル化(「○にM」アイコン)、さらにピッチ変化を無効(「FIX」アイコン)にしたトラック。効果音なんかはこういう設定もありですね。
Sweep Analog Uplifter(ビルドアップFX系)
これもシンプルなトラックなんですが、こういう音をサンプラートラックにアサインして、鍵盤でピッチを挙げるように連打していくと、EDMのBuildupとかに使えそうです。
Euphoria Stab(Stab系)
こういうStab系やPluck系も、サンプラートラックとは相性良さ気。キーレイヤーによるマルチサンプリングが使えないサンプラートラックですが、意外とこういうのは普通に音色として使っていけそうな感じで、後述する「サンプリングCD素材の為のテンプレ」としても使えそうです。
サンプラートラックの中身を入れ替える
既に作成してあるサンプラートラックの中身だけ入れ替える方法があります。
トラックの設定ごとまるごと入れ替える
サンプラートラック・ウィンドウの「プリセット名」の所を四角(◇部分)をクリックすると、トラックプリセットの読み込みが行えます。
ここからトラックプリセットを読み込むと、インサーションエフェクト等を含む現在のトラックデータがそっくりそのまま別のトラック設定にかわります。新規でトラックが作成されないので煩雑にならなくてよいです。
波形だけ入れ替える
個人的には、サンプラートラックの使い方として結構ありかなとおもうのがこれ。
先程紹介した、「Euphoria Stab」などのトラックプリセットをロードしておいて、インサーションエフェクトなどの設定はそのままに、再生する中身の波形だけ入れ替えちゃうって使い方。
ファイル名の横のフォルダマークのアイコンをクリックすると、ダイアログが開いて波形選択画面になります。
サンプリングCDにある単音系シンセ素材を活用できる
サンプリングCD集などに収録されている、ピッチ付きの単音系素材ってどう使っていいかわからなくて放置されがちなんですが、サンプラートラックを使えばわりと活かせる機会も増えるかもしれません。
例えば上記の「VEC2 Synths 183 G.wav」は、シンセのG(ソ)音が収録されています。これを読み込みます。
読み込んだら、サンプラートラックの基準音をCからGに変えてあげます。これだけで結構普通に使えるようになります。今までスルーしてきた音ネタが宝の山に……なるかどうかはわかりませんが、わりとこれ手軽なので試す価値はあります。
今回は、「Euphoria Stab」のトラックプリセットを元に、波形だけ「VEC2 Synths 183 G.wav」に差し替えてます。
波形単体からサンプラートラックを作成するよりも、トラックプリセットを元に波形だけ変えるこの方法はプリセット型シンセ同様にエフェクト込みで音色を聞くことができるので、パッと聞きの印象がよいです。
トラックプリセット自体、ユーザーがカスタマイズして保存できるものなので、この辺りは色々試してみても良さそうですね。
エンベロープにも注目
音色の中にはエンベロープで音作りしてるものも多いので、このあたりもチェックしてみると面白いです。